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タイ本読書案内 その2

隠し騙し欺く
 タイ本読書案内 その2

 「隠し、騙し、欺く。 砂の城クーデター
 (ลับ ลวง พราง - ปฎิวัติปราสาททราย)」
 マティチョン出版社 ワーサナー・ナーヌアム著 
 230バーツ

 「私が首相になればよかった(涙)。
  タクシンと同じ政策をとればよかったんだ」
        ソンティ・ブンヤラッガリン陸軍大将

 ◆本の概要
 誰も信じない。誰にも悟らせない。
 決行の時までは・・・!
 2006年9月19日夜、タクシン首相(当時)から
 政権を奪うクーデターが勃発した。
 クーデターの首謀者ソンティ陸軍司令官(当時)は
 ムスリムである以外に特徴の無い地味な軍人で
 タクシン首相も警戒していなかった。

ソンティ大将は、いつから・誰と・どの様にクーデターを画策していたか
あの日、国軍最高司令部やテレビの9チャンネルで何があったか
暫定首相や後継の陸軍司令官はどの様に選ばれ、戦友達の間に亀裂を生じたか
そして、成功したのに1年半でタクシン派の政権復帰を許し、敗北に終わったクーデターから
軍人達が得た教訓は何か。
気鋭の軍担当新聞記者が、記事に書き切れなかった裏話をまとめた本。

◆読みどころ
タイ国トップ軍人達の人柄・略歴・人間関係図。
学生時代の同期の絆、長幼の序は60歳になっても重要なのだ。
どこから読んでもよく、全部読まなくてもよい。個人的に面白かったのは以下の章。

.▲魅櫂鷂塾Ψ鎧蔑甦韻亡悗垢訃
第1軍管区(タイ中央部)司令官アヌポン・パオチンダー中将(当時)は
タクシン氏と軍事予科学校の同期(10期)でありながら、ソンティ大将の腹心の部下で
クーデターの影の立役者であった。
タクシン派10期生の師団長に断わりなく大隊長クラスを大量に異動し、
巧みな弁舌と接待で自分直属の部下の様に手なずけておいたのだ。
そこまで裏切ったのに、同期のよしみでタクシン派と取引が出来るという彼が
現在の陸軍司令官である。
(タクシン氏は10期生の首席で警察中佐の階級を持っている)

▲汽廛薀鸞臂の章
第3軍管区(タイ北部)司令官サプラン・ガラヤーンミット中将(当時)は
クーデター前からタクシン嫌いを隠さなかった唯一の軍人。首謀者達はとぼけていたのに。
率直過ぎてすぐ人に喧嘩を売ってしまう。彼が警察長官を非難して言った
「サイ・ギア・ワーン(車のギアがニュートラル=仕事する気がない)」 は流行語になった。
ソンティ大将は、彼に次期陸軍司令官になる希望を持たせておきながら、まさかの閑職に左遷する。
サプランは仏陀の道を訪ねるインドの旅に出、戻ると黙って決定を受け容れる。
彼の純粋な人柄がたまらないというファンが存在するそうで
政治的に利用されない様にと、周囲の戦友は気を遣っている。

9餬該嚢盪蔑疉瑤両
ルアンロート国軍最高司令官(当時)はタクシン派軍人なので
ソンティ大将から何も知らされず、クーデターの夜は自宅で晩酌をしていた。
報せを受けて、短パン・サンダルのまま最高司令部へ駆けつけた。
タクシン派10期生の将校達も集まり、騒然としている。
チッチャイ副首相(当時)と首相秘書官がやって来て、タクシン首相からの国際電話を繋ぐ。

「これから非常事態を宣言して、ソンティを陸軍司令官から解任します。
あなたを責任者に任命するから、思いっきり制裁を与えて下さい」

副司令官ブンサーン大将は各方面へ電話をかけまくり状況把握に努めていた。
9チャンネル以外の要所は陸軍の戦車に包囲されていた。
ソンティ大将と繋がり、最高司令官が話す。
「首相が非常事態を宣言したぞ。退却するんだ。内戦にならん様にな」
しかしソンティ大将は退かない。
「連絡が遅れて申し訳ありません。退却は出来ません。お国のためです。
そちらにも間もなく砲兵隊がお邪魔しますよ。 私は国王陛下に拝謁に行きます。
先輩も合流して下さい。海軍と空軍の司令官も来ます。ではチトラダ宮殿で会いましょう」
そこへタクシン首相からまた国際電話。
「プレーム(枢密院議長)を逮捕しろ。警察を使え!」
しかし、警察へ指令を出すべき副首相はすっかり怖じ気づいている。
・・・思考停止した最高司令官に、副司令官が助言する。

「同士討ちは出来ませんよ。一国の軍隊は常に同じ側にいなければ。
宮殿へ行きましょう。乗り遅れたら敵にされますよ!早く!」

最高司令官を追い立てるようにして車に乗ったので
取り残された副首相らが陸軍兵士に連行されたところは見ていない。
まさか短パン・サンダルで王様には会えないので、途中、着替えに立ち寄る。
そうして宮殿に到着した時は、既に謁見が始まっていて部屋に入れなかった。
翌日公表された、国王陛下との謁見の写真に写っているのが陸海空の司令官だけで
最高司令官がいないのは、そんなわけだそうだ。
あの時もし、最高司令官がタクシン派部隊の指揮をとって徹底抗戦していたら
・・・あのクーデターは無血では済まなかった。

◆ちなみに著者は女性である。マティチョンでなくバンコクポストの記者。39歳。

at 21:26, rose, タイのこと

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